毎日、武蔵野の夕陽は、大きい。ぶるぶる煮えたぎって落ちている。私は、夕陽の見える三畳間にあぐらをかいて、わびしい食事をしながら妻に言った。「僕は、こんな男だから出世もできないし、お金持ちにもならない。けれども、この家一つは何とかして守っていくつもりだ」その時に、ふと、東京八景を思いついたのである。過去が、走馬灯のように胸の中で廻った。「東京八景」